「広島の講演会」でのお話 No. 3
標準治療の説明をなさった秀先生のあと、私のプレゼンの番が回ってきました。
数日前からの悪性の風邪で、私の声はかなりかすれ、時々咳が止まらなくなるていたらくでしたが、聴衆にステロイドを使う先生が多いことを想定して、かなり論理武装したプレゼンを用意していました。そのため、内容もかなり薬剤に関連したことに絞って行いました。内容は、「アトピー患者 1000人の証言」を執筆した下地となった「成人アトピーのアンケート調査」を中心にまとめたものです。
内容的には、下の通りです。
*私自身の病歴
*何故この調査に着手したのか
*どういった人たちが調査対象となったのか(私の調査では、ステロイドがうまくいかなかった人が多い母集団となりました)
*発病はいつか、アトピー歴はどのくらいか
*何年くらいステロイドを使ったのか
*ステロイドを止めた経験はあるのか、あるならば、その理由は何か?
*ステロイドを止めたときのリバウンドはどうだったか
*リバウンドの強さと使用年数には関係があるのか(これはクロス分析しました)
*プロトピックの使用状況
*病院での辛かった経験
*自分のアトピーが悪化した理由
*自分のアトピーが緩解した理由 などなどなど。。。
あまりステロイド忌避に偏るプレゼンにはしたくなかったので、「ステロイドでうまくいく人がたくさんいるのは理解しています。しかし、ある割合でうまくいかない人が存在し、その人達が非常に苦しい思いをしており、医療の場から見放されている人も少なくないのです。」といった感じで話をまとめました。
普段のプレゼンではあまり感情を出さない自分ですが、「病院での辛かった経験」の項では、それをまとめたときの辛さを思い出して、思わず涙声になってしまいました。
「医師の言うことに異議を唱えたら、『だから治らないんだ!』と怒鳴られ、カルテを目の前で破られた。しかし、しっかり治療費は請求され、とても悲しかった」といった体験談もありました。(もっともっとたくさんひどい例があるんだが。)
私が、本の中で、患者さんの体験談をまとめたのはちょうど4月5月のあたりでした。私のアトピーがもっともひどく、ちょうど4月から新しい職場に通い始め、何もかもが初めての経験で、ひどくプレッシャーがかかっていた時期でもありました。同時進行で、帰宅後自宅で執筆をしていたのですが、これが本当に辛い作業でした。あまりにも患者さんがひどい目に遭っているのです。いくらなんでもそりゃないだろ、みたいなことを言われ(お医者さんて、やっぱり患者を馬鹿だと思ってる?)、ステロイドをいやだというと、無理矢理処置室に連れて行かれて注射されたり、薬を塗られたり、、。そんな経験が、アンケート調査をめくってもめくっても山のように出てきたのです。それを一つずつ、電子ファイルに打ち込んでいったわけですが、やっているだけでこちらまで泣けて泣けて仕方ありませんでした。そのことを思い起こすと、プレゼンの最中に思わぬことに涙が溢れ、一瞬言葉が続きませんでした。
私は、秀先生がトップバッターというからには、聴衆の多くがステロイドに対して疑問をあまり持っていないお医者さんが多いものと思っていました。ところが、実際は数日前の新聞報道のせいで(ではなくおかげで)、おそらく150名からの聴衆のうち100名くらいが患者さんかその関係者でした。
そして、お医者さんの多くも、東洋医学関連(つまり漢方のお医者さん)が多く、かなり好意的な感触を受けました。私はどちらかというと、相当聴衆にたたかれることを想定していたので、安心のあまり足の力が抜けるような気がしました。といっても、厳しい質疑もあったのですが、司会者の先生も助け船を出してくださり、終わってホッと安堵したのでした。
しかし、それよりも私がはっとさせられたのは、司会者の先生が秀先生にコメントを求められたときでした。(すごく途中ですが、次に続きます。)
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